小水力発電所

概要
 待矢場三栗谷発電所は、農業用水施設である管水路の流水エネルギーを利用した小水力発電所です。発電した電力は売電し、土地改良区が管理する農業水利施設の電力費用等に充て、維持管理費の軽減を図るとともに、環境に配慮した再生可能エネルギーの有効活用を目的として導入しました。
 当初、発電機は、管水路出口に設置されている減勢工上部に置く予定でしたが、騒音や振動など周辺環境への影響また維持管理を考慮し、隣接地に建屋を設け、建屋内に発電機・配電盤等の設備機器を設置することとなました。これにより発電に使用する用水は管水路から分岐させバイパス管により導水しています。
 発電機については、農業用水を利用しているため、かんがい期で約1.4㎥/s、非かんがい期で0.5㎥/sと時期によって最大使用水量に差があり、また、かんがい用水としての利用(田植え)状況や天候等によっても利用できる水量に変化が生じるため、より効率よく発電ができるような発電機を設置しました。



 太田頭首工から管水路までは約3.5kmあり、開水路のため、落ち葉や投棄されたゴミなどが多く、管水路へのゴミの流入を防ぐため、管水路入口のスクリーンを20
mm幅と細かくし、発電機へのゴミの影響を軽減しています。また、スクリーンの清掃も定期的に職員が行なっています




発電機
 
チューブラ水車:円筒形(チューブラ)のプロペラ水車
バタフライバルブ:円盤型のバルブ。回転することで開閉する。
ランナベーン:回転部の羽が可動式で、水量に応じ角度を調整できる。



 水力発電は、流水エネルギーにより水車を回転させ、その回転を発電機に伝え、発電する仕組みです。したがって、落差が大きいほど、流量が多いほど、発電量は大きくなります。 また、水車にも様々な形があり、発電環境により効率的なものが選択されます。当発電所では落差が比較的低くても発電効率のよいプロペラ水車(チューブラ水車)を採用し、さらに流量変化に対応できるようプロペラの羽が可動式するものを設置しました。
導入経緯
 当発電所は、農村地域に存在する未利用エネルギー(再生可能エネルギー)を活用し発電するもので、その電力を売電することで農業水利施設の電気料や維持管理費の軽減を図るとともに、地球規模での温暖化が懸念される中、二酸化炭素等の温室効果ガス削減に貢献できることを目的に導入されました。
 導入にあたっては、群馬県による平成20年度の小水力発電可能性調査により「可能性あり」との判断を受け、引き続き平成22年度の調査再検討及び導入に向けた検討が続けられました。平成24年度に「小水力等農村地域資源利活用促進事業」による予備調査を実施、平成26年度には、導入に向け事業主体の協議が始まりました。
 発電所設置場所が、群馬県管理部であることや、設置する管水路が待矢場両堰土地改良区と三栗谷用水土地改良区との共用施設であるなどの状況を踏まえ、両土地改良区の共同事業で実施することとなり、また事業主体は待矢場両堰土地改良区が妥当であるとの結論となりました。
 平成27年度には「地域用水環境整備事業 矢場地区」として実施計画を策定。また両土地改良区及び関係機関との負担割合等の協議及び協定書の締結を経て、平成28年度に事業実施となりました。
諸元


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